Column
2017-07-03(Mon)
近年、インターネット通販が普及し百貨店の閉店が続くなど大型商業施設が苦戦を強いられているなか、2017年4月にオープンした銀座の複合商業施設「GINZA SIX(ギンザ シックス)」が人気を博しています。オープン初日は開店前に約2500人の待機列ができ、前倒しで開店したほど。その後も来館者数は順調で、勢いが全く衰えません。
このコラムでは、BtoCマーケティングの戦略をBtoB向けにご紹介します。ぜひ最新のマーケティング戦略を自社のマーケティングに生かしてくださいね。
草間彌生さんのオブジェを吹き抜け空間に大胆に吊り下げるなど、各所にパブリックアートを展示しているGINZA SIX。これらのパブリックアートは、ただ内装のインテリアとして、あるいはブランディングのためだけに展示しているのではありません。
実は、大型施設の課題は「回遊率アップ」にあります。規模が大きければ大きいほど顧客の回遊率は下がり、奥の方や外側にあるテナントにはなかなか足を延ばしません。しかし、全体の売り上げを伸ばさなければ土地代をペイできませんから、なんとかして全体のテナントに目を通してもらう必要があります。
そこで、真ん中と外側にパブリックアートを設置し、導線を作ったのです。パブリックアートはどれも大きく特徴的なものばかりで、目に入ったらつい近くに行きたくなります。中央の吹き抜けに加えて、外側にも吹き抜け空間を用意。今話題のチームラボのデジタルアートやフランスの植物学者兼アーティストの壁面緑化のアートを展示しています。これらの作品を見るために移動すれば、自然と外側にあるテナントも目に入るのです。
回遊率アップはサイト運営でも重要です。ユーザーがLPだけ見て離脱してしまうと、あまり記憶に残りません。LPから他の詳細ページにもアクセスしてもらえるようにバナーを目立たせるなどの工夫をしましょう。
GINZA SIXには一定金額以上購入すると利用できる「VIPルーム」が用意されています。このVIPルームは重厚な自動扉で閉ざされていて、外から中は見えません。そのため完全なプライベート空間になっており、特別感を演出しています。
中に入ると、まるで高級ホテルのロビーのようにラグジュアリーな空間が広がっていて、コンシェルジュが恭しく出迎えます。ゆったりと椅子に座って休むこともできますし、今後は検討中の商品をすべてVIPルームで試着できるサービスも提供予定とのこと。さらに専門のコーディネーターが組み合わせを提案するなどのスペシャルサービスも検討中だそうです。
これは銀座という立地の特徴も考慮したサービスですが、このように顧客にステータスを実感させるのはロイヤリティを上げるために有効な施策です。ステータスが上がれば上がるほどサービスに対する愛着が深まりますし、顧客満足度もアップします。
こうしたサービスはBtoBサービスでも適用できるでしょう。一定期間サービスを継続した顧客には特別オプションを付与する、ユーザーランクを上げるなどといった施策に応用できそうです。
差別化の要はブランディングです。サービスのオリジナリティを出すには、ブランディングにこだわらなければなりません。
GINZA SIXは、現代アートを身近に体験できる場所としてさまざまな芸術家とコラボし、その作品を複数展示することで内装にオリジナリティをプラスしています。草間彌生さんのオブジェ「南瓜」はSNSでも多く取り上げられ、投稿数はなんと数万件以上。さらに、外側の吹き抜け部分の芸術作品はそれぞれ連動しているというこだわりようです。青々と緑が茂る壁面緑化のデザインを、反対側のデジタルアートに反映させています。それによって「生きている壁」としてメッセージを届けているのです。
リピーター顧客を飽きさせないために、こうしたアート作品も半年に1回変更し、時代に合ったアートを提供していくとのこと。通常だと商品を展示するディスプレイスペースにも売り場に合った芸術作品を展示し、GINZA SIXらしさを表現しています。もっともリピーターが多いとされる食品売り場にはフレッシュな果実の絵画を展示するなど、春夏秋冬で季節に合ったものに変えていく予定だそうです。
このように、BtoBでも単純に商品を目立たせて短期的な売り上げを目指すだけではなく、ブランディングを意識して長期的な売り上げ達成を目指す方がより大きな成果につながるでしょう。
たとえばコーポレートサイトでも、真面目で硬い情報ばかり列挙していては印象に残りませんし、興味を持ってもらうのは難しいでしょう。入り口にはキャッチ―でライトなコンテンツを置いて注意喚起し、そこからサービスの内容に目を向けてもらえるように導線を用意してはいかがでしょうか。
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